こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
さて、刑事事件の刑罰には、主に次の6種類があります。
・科料(1万円未満のお金を支払う)
・拘留(30日未満、刑事施設に拘束される)
・罰金(1万円以上のお金を支払う)
・懲役(刑務所に拘束され、刑務作業を行う)
・禁固(拘束されるが、刑務作業は行わない)
・死刑(生命を奪われる)
刑事事件と民事事件の違いは、詳しく説明すると
難しくなりますので、ここでは、
「罪を犯した人に対して、国が罰をくだす」ものを刑事事件
「個人と個人の間での争い」を民事事件ととらえていただければ
良いかと思います。
さて、話を戻して、刑罰の種類を見てみましょう。
たとえば、「罰金」と「科料」、上記の説明では
単純に金額が違うだけに見えますが
他にも細かい違いがあります。
表にまとめてみましょう。
|
罰金 |
科料 |
金額 |
1万円以上 |
1000円以上、1万円未満 |
市町村役場の犯罪人名簿に |
記載される |
記載されない |
納められない場合は |
労役場に留置され、労務に服する(期間は最長2年間) |
労役場に留置され、労務に服する(期間は1日以上30日以下) |
執行猶予 |
つく(但し50万円以下) |
つかない |
金額のほか、大きな違いは、犯罪人名簿に記載されるかどうかと
執行猶予がつくかどうか、ということでしょうか。
少し話がそれますが、犯罪人名簿とは、市区町村が
主に選挙人名簿を作成するために管理しているものです。
選挙人名簿の作成に犯罪の履歴がなぜ必要かというと、
過去に犯した罪によっては、選挙権・被選挙権が停止される
と、公職選挙法に定められているからです。
詳しくはまた別の機会にご紹介しますが、
罰金刑になったからといって、必ず選挙権がなくなる、
ということではありません。
執行猶予については、前回ご紹介したとおりですね。
さて、科料にしろ罰金にしろ、支払う能力がない場合は
「労役場に留置され、労務に服する」とありますね。
1日の労務がいくらになるのかは、裁判官が決めることに
なっており、科料または罰金の金額に達するまでの日数、
軽作業などを行うことになります。
罰金のうち一部を事前に支払っていれば、その分
日数は少なくなります。
とはいえ、労役場に留置するのにも
経費(食費や光熱費、労役場の人件費など)がかかりますので
検察庁としては、分割納付や親族等による立て替えなどで
できるだけ現金で徴収するようにしているようです。