こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
今月は「ADR(裁判外紛争解決手続)」について
ご紹介したいと思います。
ADRとはその名前のとおり、裁判以外の方法で紛争(トラブル)を
解決する手続きのことです。
なぜ、裁判以外の方法を用いるのかというと、現状の裁判は
・費用がかさみやすい
・解決までに時間がかかる
・手続の進め方が難しい
・経過や結果が公開される
といった点が利用者にとってハードルになりやすいからです。
逆に言えば、ADRを使えば、
費用を抑えて、比較的短期間で、簡単な手続きで、非公開で、
トラブルの解決をはかることができるというわけですね。
ADRでは、消費者と事業者との間に起きたトラブルについて
仲介委員あるいは仲裁委員と呼ばれる第三者が間に立って
トラブルの解決をはかります。
方法は「和解の仲介」「仲裁」の2つに分けられます。
「和解の仲介」では仲介人はあくまで和解による解決を目指すのに対し、
「仲裁」では仲裁人の判断で解決をはかります。
民事裁判との大きな違いは、問題となっている取引について
専門的な知識や経験を持つ人が間に立って、中立かつ公正な立場で
手続きを進めてくれることです。
間に立ってくれる仲介人あるいは仲裁人は、
例えば、先週のブログでも触れた、建築物の傾きの問題などは
特に専門的な知識が必要なトラブルであるといえます。
ほとんどの場合、消費者は専門知識がないケースが多いので、
当事者同士で話し合うよりも、こういった制度を利用して
専門家に仲介・仲裁をしてもらうほうが良いですよね。
ただし、ADRを利用する際には少し条件がありますので、
次回はその点についてご紹介したいと思います。